春もみじの道を ~映画『いしゃ先生』顛末記~
その⑤


 2013年4月末、東京にて作戦会議が開かれた。場所を提供してくださったのは西川町まちづくり応援団の元会長さん。都内某所にあるオフィスマンションに、8人ぎゅぎゅっと集まった。いやぁ、これが本当に助かる! 東京は打合せ一つするのにもお金が飛んでいく。喫茶店で珈琲一杯500円、ゆっくり話ができるスペースを……と思えば1杯1000円もする。そもそも、こんな大人数がまとまって入れる場所なんてそうそう無いのだ。今までは打合せひとつにしても大変だった。田舎じゃ想像できねよにゃあ。

 さて。さすが「町おこし映画」だと、集まったメンバーを見まわして思う。通常の映画製作ではなかなかこういった面子は集まらない。映画製作のプロたちはさておき、NPO法人・元気まちネットの方々、HP開設に尽力くださった山形大好きな都会の女性、旅行代理店の面白アイデアマン、熱血役場職員。それぞれの視点も発言も興味深いが、この面子で「映画」をつくろうとしていること自体が面白い! この場がそのままハートフルコメディになると、私は一人でにやにやしていた。東京部会での主な議題はやはり資金集めである。地元の西川町では、皆がそれぞれのポジションで奮闘中だ。我々が東京でできることはなんだろう、どこに、どの順番で、どうアプローチしていこうか。各々が得意の分野でアイデアを重ねていく。いやぁ、出てくる、出てくる。本来ブレーンストーミングとはこういうことをいうのだと、私はひたすら感激していた。……凄いなぁ、これが第一線で動いている人たちの言葉だよなぁ。ここに地元の若い人を入れたいなぁ、どれほど刺激を受けるだろうか、これこそが町おこしだよなぁ……。

 色んな分野の応援団が、山形県人じゃない方々も含めて、我々の取り組みに注目し、応援してくれている。そのことをもっと多くの方に知って頂きたいし、とくに若い人に一緒に参加してもらいたい。もったいないですもん、ほんと。先日、プロデューサーと「何をもって成功とするんでしょう」という話をした。例えば、お金が集まらず映画が出来なかったら失敗なのか。その答えは見えてきている。ヒントは、町おこしは人間おこし。んだべ?

 最後に、それまで静かに見守っていたまちづくり応援団の元会長さんから、ご提案があった。「6月9日に、まちづくり応援団の東京総会があるから参加してみないか」とのこと。そこでプロジェクトのプレゼンテーションができたら、さらなる広がりが期待できる。私は二つ返事で「いきます!」と言った。だが、その総会にて、私は非常に厳しい現実を突きつけられることになる。それはまた、次の回で。
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